夢分析というと,何か怪しげな印象を受ける方もおられるかもしれません。おそらく,テレビや雑誌などでよく見かける夢占いの類いと一緒になってしまっているのでしょう。カウンセリングでおこなわれる専門的な夢分析は,夢占いではありません。同じ夢でも見る人によって意味が異なることがふつうですし,それを現実の生活とつなげ,活かしていくのは,けっして単純な作業ではありません。
不思議な夢や怖い夢を見て関心をもち,その意味を自分で考えはじめたことのある方もおられると思います。ところが,とらえどころがなさすぎて,どう考えたらいいのか分からず,長続きしなかった方も多いのではないでしょうか。あるいは,片寄った解釈の仕方にとらわれてしまったりもしがちです。
しかし,正しいやり方で,夢に現れるイメージのひとつひとつを大切に検討していくと,そこには思ってもみなかった新鮮なものの見方や,問題解決のためのヒントが含まれていることが分かってきます。
人は自分自身のことについて,意外に知らないものです。他人のことは客観的に見られても,自分のこととなると,盲点になっている部分が大きいのです。特に,ある症状や問題が長く続いていて,いろいろやってみたけど解決しないといった場合,そうした「心の盲点」に,大きな要因が隠されていることも多いのです。
夢は,そうした「心の盲点」(無意識と言ってもいいです)で,自分が本当はどう感じていて,何を考えているかについて,イメージを通して伝えてくれます。それだけでなく,今自分にとって何が必要か,これからどんな方向を目指すべきか,(「答え」までは無理でも)そのヒントを豊富に与えてくれます。それが,私がカウンセリングで夢を扱うことの多い理由です。
実際のカウンセリングでは,毎週,夢を持ってきて下さる方もおられますし,ごくたまに,印象的な夢を見たときにだけ報告して下さる方もおられます(夢には全く関心のない方も,もちろんおられます)。どのように夢と向き合っていくかも,カウンセラーとの相談の中で決めていくことになります。